関門海峡。
本州と九州を隔てる海峡で、とても潮の流れが速いことで有名です。
愛媛の来島海峡、徳島の鳴門海峡と一緒に、日本三大急潮とも呼ばれています。
また、船の航行の難所としても知られており、「一に来島、二に鳴門、三と下って馬関瀬戸(昔の関門海峡の呼び方)」という言葉もあるくらいです。
そうすると気になってくるのが、関門海峡の潮流はなぜ速いのか?というところです。
このページでは、そんな関門海峡の潮流が速い理由と、なぜ西流れ・東流れの2つの方向に流れが切り替わるのかの理由について、詳しく解説していきます!
潮流が速い理由
それでは早速ですが、関門海峡の潮流が速い理由をまずは一言でお伝えしたいと思います。
こちらです。
関門海峡の2つの出入り口である日本海と瀬戸内海では、満潮と干潮のときの潮位差が異なり、海面の高さが変わって海水が高い方から低い方へと流れようとするため。
このように、関門海峡の潮流が速い理由は、日本海と瀬戸内海の潮位差が異なることが原因で発生します。
潮位差とは、満潮の時と干潮の時の海面にどのくらい差があるかという数値です。
日本海と瀬戸内海ではこの潮位差が違うので、海面の高さが均一にならないという現象が起きます。
そうすると、この間をつないでいる関門海峡では、海水が高い方から低い方へと流れようとしますので、その影響で潮流が速くなるのですね。
ただ、言葉だけだとなかなかイメージするのが難しいと思いますので、次の章からは、イラスト等を用いながらさらに詳しく説明していきますよ。
日本海と瀬戸内海の潮位差
それではここからは、日本海と瀬戸内海の潮位差について、さらに詳しく見ていきます。
まずは、一度関門海峡の位置をもう一度地図で確認しておきましょう。
このように、本州側の山口県下関市と九州側の福岡県北九州市を、関門海峡が隔てています。
そして、関門海峡の東側に瀬戸内海、西側に日本海があるという配置になっています。
ここで改めて、日本海と瀬戸内海の潮位差を確認してみたいと思います。
※満潮と干潮の潮位差は、気象庁のこちらのページから調べることができます→気象庁|潮位表
このページで、関門海峡の瀬戸内海側の入口である下関市長府と、日本海側の入口である下関市南風泊の潮位を調べてみると、 瀬戸内海側では潮位差が約3.5mもあるのに対して、日本海側では約1mしかないことが分かります。
分かりやすく図にすると、このようになります。
図を見ると一目瞭然ですが、実は日本海と瀬戸内海では、満潮と干潮の時の潮位差がこんなにも違っていたのです!
ちなみに、日本では太平洋や瀬戸内海は潮位差は大きいですが、日本海では潮位差が小さくなっています。
これは、日本海は結構大きな海で水深も深い割には、外海との出入口が対馬海峡や津軽海峡などわずかな隙間しかないので、十分な海水が流れることができずに潮位差が小さくなっているというのが理由です。
瀬戸内海も日本海と同様に外海との出入口は少ないですが、海も小さく水深も浅いため十分な量の海水が移動できるので、太平洋側と同じく大きな潮位差があります。
このように、日本海側と瀬戸内海側で潮位差が違って海面の高さに変化が生じるので、海水は高い方から低い方へと移動しようとします。
なので、その通り道となっている関門海峡では、海水が勢い良く流れてあんなにも速い潮流が生まれるのですね。
そしてその潮流の速さは、最大10ノット(時速約20km)にも達します。
また、関門海峡の幅は1km未満ととても狭いため、その潮流の速さと相まって船の航行の難所となっています。
※速さの単位「ノット」についても別ページで詳しくお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくださいね。
西流れと東流れ
この章では、関門海峡の流れが、西流れ・東流れの2パターンができる理由についてお話します。
ちなみに、西流れ・東流れというのは流れの方向を指しており、西流れは西向きの流れ=瀬戸内海→日本海への流れ、東流れは東向きの流れ=日本海→瀬戸内海の流れを意味します。
ここで前章で出てきた日本海と瀬戸内海の潮位差を思い出してみると、このような流れになる理由はすぐに分かりますよね。
満潮のときは瀬戸内海の方が日本海よりも海面が高くなるので、日本海に向かって海水が流れる西流れになります。
干潮のときは日本海の方が海面が高くなるので、瀬戸内海に向かって海水が流れる東流れになります。
言葉だけではちょっとイメージしずらいので、分かりやすくイラストにするとこのようになります。
イラストを見ると、西流れ・東流れになる理由は直感的に良く分かります。
このようにして、関門海峡の西流れ・東流れは発生していたのですね。
流れの切り替わる時間
最後の章では、関門海峡の潮流の流れが切り替わる時間についてお話します。
関門海峡の西流れ・東流れは、6時間ごとに切り替わります。
分かりやすくグラフにすると、このようになります。
グラフを見ると分かる通り、満潮の時間帯は西流れ、干潮の時間帯は東流れになります。
そして、満潮と干潮はそれぞれ6時間おきに切り替わるので、関門海峡の潮流の向きもそれに合わせて6時間おきに切り替わるのですね。
ちなみに、西流れと東流れが切り替わる一瞬流れが止まるタイミングのことを「転流」と呼んでいます。
※なぜ満潮と干潮が6時間おきに切り替わるのかについても別ページで詳しくお伝えしていますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくださいね。
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まとめ
以上で、関門海峡の潮流が速い理由についての話を終わります。
まとめると、下記の通りです。
- 日本海と瀬戸内海の潮位差の違いにより、潮流が速くなる
- 日本海は潮位差が小さく、瀬戸内海は潮位差が大きい
- 潮位差の違いにより海面の高さに違いが生じ、海水が低い方に流れる
- 満潮時は、日本海に向かって流れる西流れになる
- 干潮時は、瀬戸内海に向かって流れる東流れになる
- 西流れと東流れは6時間おきに切り替わる
- 流れの方向が切り替わるタイミングを「転流」と呼ぶ
私自身、関門海峡のお膝元である下関に住んでいますが、関門海峡の潮の流れは本当に速く、見た目でも流れているのが分かります。
幅自体も狭いので、川と見間違えるくらいです。
子供のころはなんで関門海峡の潮の流れが速いのかとても不思議に思っていましたが、大人になってその理由が分かってみると、そこには奥が深い納得の理由がありました。
これから関門海峡を見るときには、なぜ潮の流れが速いのかを理解しながら見てみると、より面白いかもしれませんね(^^)
※これまで話題にでてきた関門海峡の渡り方の種類についても別ページでお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにてきくださいね。
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