低温暖房能力。
エアコンの能力を表すための指標の一つで、外が寒い(外気温が低い)ときにエアコンがどのくらいの力が発揮できるかを表しています。
昨今では、普通の暖房能力と共に必ずカタログなどにも表示されるようになり、エアコンを選ぶ際の一つの判断材料としても重要となってきています。
そうすると気になってくるのが、低温暖房能力とはいったい何なのか?ということです。
そこで今回は、仕事でエアコンも取り扱っている星野なゆたが、エアコンの低温暖房能力について分かりやすくまとめてみました!
このページを読めば、なぜ低温暖房能力が大事なのかすべて分かりますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね(^^)
目次
エアコンの低温暖房能力とは?
それでは早速ですが、まずはエアコンの低温暖房能力を一言で説明したいと思います。
こちらです。
外気温が2℃のときに発揮できる、エアコンの能力。
そうなのです。
低温暖房能力とは、外気温が2℃のときに、エアコンがどのくらいのパワーを出すことができるかを示した数値なのです。
ちなみに、カタログなどに表示されている普通の暖房能力は、外気温が7℃のときの定格能力です。
パッと見では外気温がたった5℃違うだけじゃないのかと思うところですが、実はエアコンにとって、この5℃にはかなり大きな差があるのです。
そこで次の章からは、なぜ低温暖房能力が大切なのか、更に詳しく見ていきますよ。
低温暖房能力が重要視される理由
この章では、なぜ低温暖房能力が重要視されるのか、その理由についてお話していきます。
まずは、一度こちらのグラフをご覧ください。
こちらは、縦軸に暖房能力、横軸に外気温を取ったグラフです。
そして、グラフの中身には、下記の3本の線があります。
- 必要な暖房能力
- エアコンの暖房能力
- ファンヒーターの暖房能力
必要な暖房能力は、家の中を暖かく保つために必要な能力です。
当然ではありますが、外が寒くなればなるほど必要な暖房能力は大きくなっていきます。
そして注目して頂きたいのが、もちろんこちらのエアコンの暖房能力です。
改めて見てみますと、外気温が低くなるにつれてエアコンの空調能力は下がっています。
そして特に、5℃のところで一気に下がるポイントがあるのも目立ちます。
このように、エアコン暖房にとって外気温が7℃と2℃のたった5℃の違いが大きな影響を及ぼして、2℃のときの方が最大能力がかなり落ちてしまうのです。
そのため、特に寒い地域に暮らしている場合は、しっかりと低温暖房能力の数値を見ておかないと、エアコン暖房の効きが悪くてなんか寒い!という事態に陥ってしまうのですね。
ちなみにグラフを見ると分かる通り、同じ暖房器具でも灯油やガスを直接燃やすタイプのファンヒーターや温水ルームヒーターは、外気温によらず最大能力が一定なので、外が寒くなってきたからと言って能力が落ちる訳ではありません。
なので、北海道や東北などの本当に寒い地域では、エアコンではなく燃料を燃やすタイプの暖房機器の方が好まれて使われているのですね。
このような暖房能力になる理由
前章では低温暖房能力が重要視される理由についてお話しましたが、エアコンの暖房能力がなぜ外気温に影響されてしまうのか、その理由をこの章ではお話していきます。
まずはその理由を一言でいうと、がこちらになります。
外気温に影響される理由!
- 外気温が低いと、外の空気から熱を取りにくくなる。
- 5℃以下になると、室外機の霜取り運転が必要になる。
このような2つの特性があるため、外気温が低くなるとエアコンの暖房能力は少しずつ下がってしまうのです。
それでは、それぞれの特性をさらに深堀りして見て行きます。
外の空気から熱を取りにくくなる理由
まずは、外の空気から熱を取りにくくなる理由ですが、それがこちらになります。
エアコンは外の空気の熱を奪って暖房しているが、外気温が低いと外の空気の熱を奪いにくくなるから。
イラストにすると、このようなイメージです。
外気温が低くなると外の空気の熱の量も減ってしまうので、そこから熱を取りにくくなってしまうのですね。
本来であれば、寒くなればなるほど暖房能力が上がって欲しいところなのですが、それが逆に下がってしまうのは、エアコンの仕組みの避けられない悲しい宿命なのです。
※エアコンの仕組みについては別ページで詳しくお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくださいね。
5℃以下だと、霜取り運転が必要になる理由
そして2つ目の霜取り運転が必要になる理由は、こちらです。
外気温が5℃以下になると、室外機の冷媒温度がマイナスになり、室外機に霜が付き始めるから。
先ほど、エアコンは外の空気の熱を奪って暖房をしているとお伝えしましたが、その熱を奪うために、外気温より5℃低いくらいの冷媒(熱を運ぶための流体)が室外機の中を流れています。
そのため、外気温が5℃を切ってくると、冷媒の温度がマイナスの領域に入ってきます。
そうすると、室外機の熱交換器の温度もマイナスになるので、空気中の水蒸気が凍ってしまって、室外機の熱交換器に霜が付いてしまうのです。
そして霜が付いてしまうと、空気との熱交換の邪魔になってしまうので、霜取り運転が必要になってきます。
このような理由で、外気温が5℃を切ってくると、どうしても通常の暖房運転と霜取り運転の繰り返しになってしまいます。
また、霜をとかすためには熱が必要になりますが、その熱は本来暖房に使いたい熱を借りて使っています。
そのため、霜取り運転が必要となる外気温が5℃以下になると、エアコンの暖房能力がガクッと落ちてしまうポイントがでてきます。
これが、前章のグラフで出てきた、外気温5℃の地点で暖房の最大能力が大きく落ちてしまう現象の正体なのですね。
寒冷地向けエアコン
最後の章では、最近になって各メーカーが特に力を入れている、寒冷地向けエアコンというものをご紹介したいと思います。
これまでの章で、エアコンは外気温が低いときの暖房が苦手とお伝えしましたが、決してエアコン暖房がダメなところばかりではないのです。
エアコンの最大の長所は、外の空気の熱を使って暖房することにより、使った電気の何倍ものエネルギーで暖房できるところです。
これは、エアコン以外の暖房器具では、決して真似ができないところです。
そこで各メーカーが今こぞって販売しているのが、外気温がかなり低くなる寒冷地でも、しっかりと暖房能力が発揮できる、寒冷地向け仕様のエアコンです。
寒冷地仕様のエアコンは、外の空気からたっぷりと熱を取れるように大きめの室外機を使ったり、ドレン水が室外機の中で凍り付いてしまわないように凍結予防ヒーターが付いていたりと、寒冷地にピッタリな仕様になっています。
エアコンはとてもクリーンで省エネな暖房機器になりますので、寒い地域でエアコンを付けたいときは、このモデルの購入を検討するのが良いと思います。
※エアコンの選び方については別ページで詳しくお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくだしさいね。
まとめ
以上で、エアコンの低温暖房能力についての話を終わります。
まとめると、下記の通りです。
- 低温暖房能力は、外気温が2℃のときの暖房能力
- カタログ記載の普通の暖房能力は、外気温が7℃のときの定格能力
- エアコンの暖房能力は、低温暖房能力の数値が重要
- 暖房能力が足りないと、部屋が暖まらずに寒い思いをする
- エアコンは、外気温が低いほど最大能力も落ちる
- 外気温が5℃以下になると、霜取り運転が必要でそちらにも熱を使う
- 寒冷地でも大きな暖房能力が確保できる、寒冷地仕様のエアコンがある
カタログの片隅にちょろっと書かれている低温暖房能力なのですが、実はこんなにも大切だったのですね!
エアコンは、家電製品の中でも高価なものの部類に入りますから、その数値を吟味しながら、失敗しないように購入を検討したいですね(^^)
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