地震。
日本に住んでいればどこでも起こる可能性があるとても恐ろしい自然災害の一つです。
そしてどこかで地震が発生した際に、そのニュースで必ずといって良いほど次のような表現がされます。
「○○県○○市を震源とする最大震度4、マグニチュード4.5の地震が発生しました」
ここで気になるのが、震度とマグニチュードの違いについてです。どちらも同じような数字に感じるのですが、この2つはいったい何が違うのでしょうか?
このページでは、そんな震度とマグニチュードの違いについて、大学の頃には「地球惑星科学科」という地球と宇宙の勉強をする学科に所属しており、地震についてもそこで勉強していた当ブログ管理人の星野なゆたが徹底解説していきます!
目次
震度とマグニチュードの違い
それでは、早速ではありますが震度とマグニチュードの違いをみていきたいと思います。
震度とマグニチュードをそれぞれ一言で表すと、下記の通りとなります。
実際に地面がどのくらい揺れたのかを表す尺度
地震のエネルギーの大きさを表した尺度
そう、震度は実際に揺れた揺れの大きさを表しており、マグニチュードは揺れではなく地震のエネルギーの大きさを表していたのです!
数字だけ見ると同じように見えるこの2つ、実は全く違うものだったのですね。
それでは次の章からは、震度とマグニチュードについて更に詳しく見ていきたいと思います!
震度の決め方
まずは、震度の決め方からお伝えします!
気象庁震度階級
現在の日本では、震度は「気象庁震度階級」という階級によって分類されており、「地震の実際の揺れの強さ」によって決められています。
そして震度は、その揺れの強さによって下記の10段階に分類されています。
- 震度0
- 震度1
- 震度2
- 震度3
- 震度4
- 震度5弱
- 震度5強
- 震度6弱
- 震度6強
- 震度7
これらの震度は、日本各地に設置されている地震計で計測されたデータから計算される計測震度という数値によって決まっており、それぞれの震度の計測震度は下記の表の通りです。
震度 | 計測震度 |
---|---|
0 | 0.5未満のすべて |
1 | 0.5以上1.5未満 |
2 | 1.5以上2.5未満 |
3 | 2.5以上3.5未満 |
4 | 3.5以上4.5未満 |
5弱 | 4.5以上5.0未満 |
5強 | 5.0以上5.5未満 |
6弱 | 5.5以上6.0未満 |
6強 | 6.0以上6.5未満 |
7 | 6.5以上 |
これまでに気象庁震度階級の中で最大となる震度7の揺れは、過去6回、下の表の通りの地震で観測されています。
発生日 | 地震名 | 観測場所 | 計測震度 |
---|---|---|---|
1995年1月17日 | 兵庫県南部地震 | 兵庫県神戸市、西宮市他 | 6.6 |
2004年10月23日 | 新潟県中越地震 | 新潟県川口町(現長岡市) | 6.5 |
2011年3月11日 | 東北地方太平洋沖地震 | 宮城県栗原市 | 6.6 |
2016年4月14日 | 熊本地震 | 熊本県益城町 | 6.6 |
2016年4月16日 | 熊本県益城町、西原村 | 6.7 | |
2018年9月6日 | 北海道胆振東部地震 | 北海道厚真町 | 6.5 |
日本の観測史上で最も計測震度が大きかったのは、2016年4月16日に発生した熊本地震本震の際に熊本県益城町で観測した「6.7」です。
また、計測震度が6.5以上は全て震度7となっていますので、これ以上はどんな強さの揺れでも震度7になります。
ちなみに、現在の震度階級で震度7以上が無いのは、「過去にこれ以上大きな揺れの地震が起きたことがなく、防災上設定する意味が無いから」です。
今後もし震度7を上回るような揺れの地震が起きるようなことがあれば、震度階級が見直される日が来るかもしれません。
体感や建物の被害
震度は実際の揺れの強さによって決められているので、震度が大きくなるにつれて体感する揺れも大きくなり、建物などへの被害状況も増していきます。
それぞれの震度と、体感や建物の被害状況の目安は下記の通りです。
◆震度0
- 人は揺れを感じない
◆震度1
- 屋内で静かにしている人の一部が揺れを感じる
◆震度2
- 屋内で静かにしている人の多くが揺れを感じる
◆震度3
- 屋内で静かにしているほとんどの人が揺れを感じる
◆震度4
- びっくりするような揺れ
- 不安定な置物などが倒れることがある
◆震度5弱
- 大半の人が恐怖を感じる
- 固定されていない家具が移動することがある
◆震度5強
- 何かにつかまらないと歩くことが難しい
- 固定していない家具が倒れることがある
- 屋外の建造物に被害が出始める
◆震度6弱
- 立っていることが困難になる
- 固定していない家具は倒れるものが多くなる
- 耐震性の低い建物は傾くおそれがある
◆震度6強
- はわないと動くことができない
- 固定していない家具のほとんどが倒れる
- 耐震性の低い建物は倒壊するものが出てくる
- 地割れや地滑りが起こることがある
◆震度7
- 自分の意思で身動きが取れない
- 大半の家具が倒れ、中には飛んでくるものもある
- 耐震性の高い建物でも、傾いたり大きく破壊されることがある
- 電気やガス、水道のライフラインが止まる
- 道路や鉄道などの交通機関が破壊される
マグニチュードの決め方
次は、マグニチュードの決め方についてです。
マグニチュードとは?
マグニチュードは、「地震で発生したエネルギーの強さ」によって決められています。強いエネルギーが発生するほど、マグニチュードは高くなります。
そんなマグニチュードと、地震の規模の相関表は下記の通りとなります。
マグニチュード | 地震の規模 | 過去の地震の例 |
---|---|---|
4以下 | 小地震 | 多数 |
5~6 | 中地震 | ・2018年大阪府北部地震(M6.1) ・2003年宮城県北部地震(M6.2) |
7 | 大地震 | ・2004年新潟県中越地震(M6.8) ・2005年福岡県西方沖地震(M7.0) |
7.5 | ・1995年兵庫県南部地震(M7.3) ・2016年熊本地震本震(M7.3) |
|
8 | 巨大地震 | ・1993年北海道南西沖地震(M7.8) ・1891年濃尾地震(M8.0) ・1923年関東大震災(M8.0) |
8.5 | ・2003年十勝沖地震(M8.3) ・1933年昭和三陸地震(M8.4) ・1896年明治三陸地震(M8.5) |
|
9 | 超巨大地震 | ・1952年カムチャッカ地震(M9.0) ・2011年東北太平洋沖地震(M9.0) ・1964年アラスカ地震(M9.2) |
9.5 | 観測史上最大 | ・2004年スマトラ沖地震(M9.3) ・1960年チリ地震(M9.5) |
10 | 理論上の地球最大 | 観測事例無し |
11 | 地震ではあり得ない | 恐竜を絶滅させた隕石衝突 |
12 | 地震ではあり得ない | 地球が真っ二つ |
マグニチュード7クラスだと大地震、8クラスだと巨大地震、9クラスだと超巨大地震と言われています。
ちなみに、マグニチュードはエネルギーの対数によって定義されており、マグニチュードが1増えるとエネルギーは約32倍、マグニチュードが2増えるとエネルギーは約1000倍になるという特徴があります。
また、マグニチュードは震度と違って上限はありませんが、地球上で起こりうる地震の最大規模はマグニチュード10と言われています。
ちなみに、マグニチュード11は恐竜絶滅の原因となった隕石が衝突したときのエネルギーに相当し、マグニチュード12ではアラレちゃんの地球割りのごとく、地球が真っ二つに割れてしまう規模になります。
過去の地震のランキング
過去、日本で発生した地震と、世界で発生した地震の中で、観測されたマグニチュードが大きかった上位5位の地震がこちらです。
◆日本の地震ランキング
順位 | 地震名 | 発生日 | マグニチュード |
---|---|---|---|
1 | 東北地方太平洋沖地震 | 2011年3月11日 | 9.0 |
2 | 明治三陸地震 | 1896年6月15日 | 8.5 |
3 | 昭和三陸地震 | 1933年3月3日 | 8.4 |
3 | 昭和南海地震 | 1946年12月21日 | 8.4 |
5 | 北海道東方沖地震 | 1994年10月4日 | 8.3 |
◆世界の地震ランキング
順位 | 地震名 | 発生日 | マグニチュード |
---|---|---|---|
1 | チリ地震 | 1960年5月22日 | 9.5 |
2 | スマトラ沖地震 | 2004年12月26日 | 9.3 |
3 | アラスカ地震 | 1964年3月27日 | 9.2 |
4 | 東北地方太平洋沖地震 | 2011年3月11日 | 9.0 |
4 | カムチャッカ地震 | 1952年11月4日 | 9.0 |
日本では、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)のマグニチュード9.0が最大です。
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)や熊本地震のマグニチュードがだいたい7.0くらいですから、東北地方太平洋沖地震で発生したエネルギーはその1000倍ということになります。
東北地方太平洋沖地震のエネルギーがどれだけすごいものだったかというのが、改めて分かりますね。
そして世界では、1960年に発生したチリ地震のマグニチュード9.5が最大です。
これは、東北地方太平洋沖地震の5倍以上のエネルギーです。まさに世界一の、想像を絶するエネルギーが発生した地震ですね。
震度とマグニチュードは必ずしも一致しない
上記のように、震度は実際の揺れで、マグニチュードは地震で発生したエネルギーによって決まります。
そのため、マグニチュードが大きな地震ほど震度も大きくなる傾向はありますが、それは必ずしも一致しません。
直下型地震など地面の浅い部分が震源となる地震はマグニチュードが大きくなるにつれて震度も大きくなりますが、地表深くで起こった地震ではマグニチュードの割には震度が小さいこともあります。
かといって、決して油断はできません。
例えば、1896年に発生した明治三陸地震はマグニチュード8.0以上の巨大地震でしたが、その震度は2~3と小さいものでした。
しかしながら、高さ10m以上の大津波が発生し甚大な被害をもたらしました。
このようにマグニチュードが大きな地震では、例え揺れが小さくても津波に対して十分に警戒する必要があります
まとめ
以上で、地震の震度とマグニチュードの違いについての話を終わります。まとめると、下記の通りです。
- 震度は、地震の揺れの強さに決まる
- マグニチュードは、地震で発生したエネルギーの強さによって決まる
- 震度の階級は、全部で10段階ある
- マグニチュードはエネルギーの大きさなので、特に階級は無い
- 日本最大の震度の地震は、2016年の熊本地震本震
- 日本最大のマグニチュードの地震は、2011年の東北地方太平洋沖地震
今まで良く分からなかったかもしれない震度とマグニチュードの違い、お分かり頂けましたでしょうか?
これでこの2つの違いがはっきりと分かりましたので、これからはもう、地震のニュースなどで震度とマグニチュードが出てきても、2つの違いについて悩むことはありませんね(^^)
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