直流と交流。
電流には、大きく分けてこの2種類があります。
そうすると気になってくるのが、直流と交流はいったい何が違うのかという点です。
そこで今回は、直流と交流の違いを分かりやすくまとめてみました!
合わせて、直流送電・交流送電のメリットとデメリットや、電流の歴史についても触れていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね(^^)
目次
直流と交流とは?
それでは、早速ですが直流と交流を一言で説明したいと思います。
こちらです。
電圧の向き・電流の流れる向きが一定の電気
電圧の向き・電流の流れる向きが周期的に変化する電気
このように、直流と交流の最大の違いは、電圧・電流の向きが一定なのか、周期的に変化するかの違いです。
直流と交流の違いを簡潔にいうと、このような違いになります。
直流・交流の詳細
前章では直流と交流の違いを簡潔にお伝えしましたが、ここからは更に深掘りしてその違いをお伝えしていきます。
直流の詳細
まずは、直流の詳細です。
直流は英語では「Direct current」と呼ばれており、略して「DC電流」とも良く表記されます。
そんな直流電源の電圧の波形はこのようになります。
このように直線なので波形という表現は少しおかしな気もしますが、時間が経ってもずっと同じ電圧が掛かり続けるのが直流電源の特徴です。
電圧の方向が一定なので、そこに電流が流れる場合も、もちろん流れる方向は一定になります。
そんな直流電源の代表例は、下記のようなものがあります。
直流電源の例
- 乾電池
- 車のバッテリー
- 太陽光発電
この中で一番身近なものは、やはり乾電池ですかね。
直流は向きがあるので、乾電池は正しい向きに入れないといけないのですね。
また、太陽光発電も直流の電気を生み出しますが、家に来ている電気は交流なので、直流で発電された電気を一度交流に変換してから各家庭に送られています。
そして、直流で動く代表的な電化製品がこちらです。
直流で動く電化製品
- 時計
- パソコン
- テレビ
- 携帯電話
- コンポ
このように、電化製品では直流で動くものも数多くあります。
これらの製品は、家のコンセントに来ている交流電源を、アダプタなどで直流に変換してから動いています。
交流の詳細
次は、交流です。
交流は英語では「Alternating current」と呼ばれており、略して「AC電流」とも良く表記されます。
そんな交流電源の電圧の波形はこのようになります。
直流と違って、周期的に電圧がプラスとマイナスの間を行き来しているのが分かりますね。
電圧の向きが周期的に変わるので、それに合わせて電流が流れる向きも変わります。
そんな交流電源の代表例が、こちらです。
交流電源の例
- 商用電源
交流の代表は、何といっても商用電源です。
発電所で発電された電気は交流で各家庭に届けられるので、家についているコンセントは全て交流の電気が来ています。
また、交流電源の1秒当たりの波の数のことを周波数(Hz)というのですが、西日本では60Hz、東日本では50Hzの周波数の電気となっています。
※周波数の単位「Hz(ヘルツ)」については別ページで詳しくお話していますので、気になる方はこちらにも遊びにきてくださいね。
そして、交流で動く代表的な電化製品がこちらです。
交流で動く電化製品
- 扇風機
- 白熱電灯
- 電気ヒーター
このうち、白熱電灯や電気ヒーターは直流でも問題なく使えるのですが、家に来ている交流電源がそのまま使えるという意味で載せました。
また、最近ではインバーター技術といって、家に来ている交流を任意の周波数の交流に変換してから使っているものもあり、それがこちらです。
インバーター技術を使った電化製品
- エアコン
- 冷蔵庫
- 洗濯機
この中で最もインバーター技術が活躍しているのは、やはりエアコンですかね。
インバーター技術の無かった時代はエアコンはフルパワーで動くか止まるかのどちらかしかできなかったのですが、インバーター技術のおかげで細かな出力調整ができるようになり、部屋を快適な空間に保つことやより消費電力を少なくすることができるようになりました。
※エアコン・冷蔵庫の仕組みについては別ページで詳しくお話していますので、気になる方はこちらにも遊びにきてくださいね。
直流送電と交流送電
ここからは、電気の送電方法についてお伝えします。
電気を送るのは直流でも交流でもできるのですが、それぞれメリット・デメリットがあり使われている場所が違います。
どのように違うのかと、実際に使われている場所を見ていきます。
直流送電
まずは、直流送電からです。
直流送電のメリット・デメリットはそれぞれ下記のようなものがあります。
直流送電の特徴
◆メリット
- 絶縁が簡単
- 電力損失が少ない
- 電圧の変動が少ない
◆デメリット
- 変圧が難しい
- 電流の遮断が難しい
直流送電にはこのようにメリットも多くあるのですが、デメリットである変圧が難しいことと電流の遮断が難しいことで、一般家庭で使われる商用電源には向いていません。
そのため、直流送電が使われているとこはかなり少ないのですが、直流送電のメリットの方が大きくなる下記のものについては直流送電が行われています。
直流送電の使用場所
- 電車
- 海底ケーブル送電
- 50Hz⇔60Hz地域の電力連携
この中で最も身近なのは、やはり電車ですかね。
電車のモーターは直流で動いており、使用目的が電車しかないので電圧を変える必要が無く、変圧が難しいというデメリットも関係ありません。
そのため、電車を動かすには直流送電の方が都合が良く、その方法が使われています。
(このように電車のほとんどは直流送電なのですが、新幹線や地方路線ではまた違った理由で交流送電になっている場合もあります。)
※直流電車と交流電車の違いについては別ページで詳しくお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくださいね。
この他では、交流にすると電力の損失がとても大きくなってしまう長距離の海底ケーブルや、50Hzと60Hzの異なる周波数帯の地域間の電力の連携をとる場合に、一度直流に変換して連携するといったところで使われています。
交流送電
次は、交流送電です。
交流送電のメリット・デメリットはそれぞれ下記のようなものがあります。
交流送電の特徴
◆メリット
- 変圧が簡単
- 電流の遮断が簡単
◆デメリット
- 絶縁の強化が必要
- 電力損失が大きい
- 電圧変動が大きい
直流と比べて、メリットとデメリットがそのまま反対になったという形になっています。
このメリットのうち、変圧が簡単であることと、電流の遮断が簡単であることが大きな理由で、家などに来る商用電源は全て交流で送電されています。
発電所で作られた高電圧の電気を家庭用の低電圧の電気に変えるのは交流なら簡単にできるのですが、直流を変圧しようとした場合は、一度交流に変換してからまた直流に変換し直すという余計な作業が必要になるので、送電に必要な電気設備が交流の方が少なくて済みます。
また、直流の場合は常に一定の電流が流れているので遮断が難しいのですが、交流の場合は電流がゼロになるタイミングがあるので、そこを狙って遮断すれば安全に電流を遮断することができ、万が一の際の安全性が交流の方が高いためです。
電流の歴史
最後の章では少し話が変わりますが、今まで見てきた電流の歴史についてお話したいと思います。
ボルタ電池の発明
まずは、人類が初めて継続的な電流を発生させることができたときの話です。
18世紀(1700年代)に入ると電気という存在がかなりはっきりと分かってきましたが、まだ継続的に電流を発生させることはできませんでした。
しかし、1800年にイタリアの物理学者「ボルタ」が発明したボルタ電池によって、初めて継続的な電流を得ることに成功したのです。
このボルタ電池は、正極に銅板・負極に亜鉛板・電解質には希硫酸が使われており、その仕組みをイラストにすると下記の図のようになります。
このようにボルタ電池では、正極である銅板から負極である亜鉛板に向かって電流が流れます。
この電流は一定方向に流れていますから、人類初めての電流は直流ということになりますね。
また、電子は電流と逆向きで、負極である亜鉛板から正極である銅板に向かって流れます。
現在の物理学では、「電流は+から-に向かって流れる」と定義されています。しかし、電流の正体である電子は-から+に向かって流れます。少しややこしいのですが、電流の定義は電子の流れとは逆の方向に定義されているので、その点は注意が必要になります。
※電流と電子の向きが逆な理由については別ページで詳しくお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくださいね。
エジソン・テスラの電流戦争
1880年過ぎたころになると、本格的に商用電源の普及が始まっていきます。
その時に発生したのが、エジソンとテスラの間で発生した電流戦争です。
対立の原因は、商用電源を直流で送電するのか、交流で送電するのかについてでした。
エジソンは直流送電を広めたいと思っていましたが、当時エジソンの会社で働いていたテスラは直流送電よりも交流送電の方が良いと思って、交流送電を提案します。
しかし、それに怒ったエジソンは、自分の会社で働いていたテスラを非難し追い出してしまいます。
そしてその後、直流送電を推すエジソンの会社と、テスラの交流送電に魅力を感じテスラに協力した会社の間で、電流戦争と呼ばれるまでの対立が生まれます。
この電流戦争の決着は、現在の送電方法を見れば一目瞭然ですが、テスラ陣営の交流送電に軍配が上がります。
決定的な理由となったのは、先ほどの送電方法の章でご説明した交流のメリットである変圧の簡単さでした。
変圧が簡単だったので、電気を送る時に有利になる高い電圧で電気を送って、家の近くで低い電圧に変えることができたのです。
そのため、発電所から100km以上離れた場所にも電力を届けることができました。
反対に直流送電の場合は、変圧が難しく送電に有利な高い電圧で電気を送れなかったので、数kmおきに発電所を作らなければなりませんでした。
このような違いがあったため、商用電源の送電には交流の方が圧倒的に有利となり、交流での送電が世界中に広がっていきました。
そして最終的には直流送電を推していたエジソンの会社もその流れには逆らえず、交流のシステムに切り替えることになりました。
日本での発電事業
日本では、1890年(明治23年ごろ)から本格的に商用電源の供給が始まります。
当時、日本は明治の文明開化の真っただ中。
西洋列強に追い付け追い越せの勢いで、西洋で電気なるものが発明されたと聞けばすぐにそれを輸入して実用化されました。
そして、先ほどお話した電流戦争の余波が日本にもやってきます。
この時、東京の東京電灯という会社は直流が良いと思って直流送電を、大阪の大阪電灯という会社は交流の方が良いと思って交流送電を始めました。
しかしこの後すぐに、電流戦争が決着したように商用電源の送電は交流の方がメリットが大きいことが分かり、東京電灯も交流送電に切り替えます。
この時に東京電灯と大阪電灯が仲良しで足並みを揃えれば良かったのですが、お互い電流戦争で違う立場だったためあまり仲が良くなく、東京電灯は大阪電灯とは全く別のところから交流電源の発電機を輸入して使いました。
その際に、大阪にはアメリカ製の周波数60Hzの発電機が輸入されて使われていたのですが、東京ではドイツ製の周波数50Hzの発電機が輸入されて使われるようになりました。
そして、東京の周りでは50Hz、大阪の周りでは60Hzの電気が瞬く間に日本中に広がっていきました。
これが、現在の日本が一つの国なのに50Hzと60Hzの2種類の周波数の交流が混在している理由となっています。
一つの国で周波数が違うのはあまり良いことではないので統一しようという話はあるのですが、それをやろうと思うと片方の地域の電力設備を丸ごと変えなくてはならないのでとても大変で、現在でも統一されず2種類のままなのですね。
まとめ
以上で、直流と交流の違いと、送電方法および電流の歴史についての話を終わります。
まとめると、下記の通りです。
- 直流は、電圧と電流の向きが一定の電気
- 交流は、電圧と電流の向きが周期的に変わる電気
- 直流電源の代表は、乾電池
- 交流電源の代表は、商用電源
- 電気の大部分は、交流で送電されている
- 日本の商用電源は、東日本は50Hz、西日本は60Hzとなっている
直流と交流、まとめてみると色々な違いが分かって、とても面白かったです。
今の時代、もはや電気無しでの生活は考えられないものになっていますから、電気のことを正しく知って、電気と上手に付き合いながら日々の生活を送っていきたいですね(^^)
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