台風。
日本にも夏から秋にかけて良くやって来る、恐ろしい自然災害の一つです。
そんな台風に関する用語の一つに、「危険半円」と「可航半円」というのがあります。
台風に関するニュースを聞いているとたまーに出てくるこの言葉、いったいどんな意味があるのでしょうか?
このページでは、そんな「危険半円」と「可航半円」の意味について、良く知られている一般的な意味についてと、意外と知られていないもう一つの船にとっての重要な意味についてお話していますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね(^^)
目次
危険半円と可航半円
それでは、早速ですが台風の危険半円と可航半円とはどのようなものなのかについて解説して行きたいと思います!
危険半円と可航半円の位置
まずは、台風の危険半円と可航半円がどの位置を意味しているのかから見て行きたいと思います。
こちらです。
このように、台風の進行方向に対して右側に当たる部分を「危険半円」、台風の進行方向に対して左側に当たる部分を「可航半円」と呼んでいます。
そのように呼ばれている理由
次は、なぜそのように呼ばれているのかについて説明します。
その理由とは、台風の右側では台風本体の風と進行方向が同じになって風速が上がってより危険になり、台風の左側では台風本体の風と進行方向が逆になって風速が下がるので、右側よりは危険度が下がるからです。
図にすると、このような感じになります。
このように、台風の左側では風速が下がって右側よりはマシになるので、海の上にいる船にとっても台風の左側にいた方が良いということになります。
可航半円の「可航」は、船の航行が可能という意味ですから、このような名前がついたのですね。
ちなみに、天気予報では台風の速度はkm/h(キロメートル毎時)、風速はm/s(メートル毎秒)で表されますが、この2つの速さには「36km/h=10m/s」という関係があります。
そのため、台風が36km/hで進んでいて、台風自体の持っている風速が30m/sだとした場合、単純計算で台風の右側では風速40m/s、台風の左側では風速20m/sとなり、風速に倍の差が出ている計算になります。
実際の台風での例
ここからは、実際の台風での例を見ていきたいと思います。
例にする台風は、まだ記憶に新しい2018年の台風21号です。
この台風は25年ぶりに「非常に強い勢力」のまま上陸して関西地方に直撃し、暴風や高潮などで大きな被害をもたらした台風です。
※台風の強さの基準については別ページで詳しくお話していますので、気になる方はこちらのページをご参照ください。
この台風の進路と被害状況を、ウェザーニュース社の画像をお借りして見てみたいと思います。
被害状況を見てみると、やはり台風の進路の右側と左側で大きな違いがあるのが分かります。
台風の進路の右側で観測された最大瞬間風速は、赤やオレンジ、黄色の印が目立ち広い範囲でとても強いものになっています。
反対に、進路の左側では中心の近くでも緑や青の印が目立ち、風がそこまで強くならなかったことが見て取れます。
また、黒の×印は停電が発生した場所になりますが、台風の進路の右側ではいたるところで停電が発生しているのに対して、左側ではほとんど停電が発生していません。
このように、台風の「危険半円」に入るか「可航半円」に入るかで被害状況も大きく変わってきますので、特に台風がやってきて自分が住んでいるところが「危険半円」側に入ってしまいそうなときには、より厳重な警戒が必要になってくるということになります。
船にとってはもう一つ重要な理由が!
第1章でお話した通り、台風の進行方向右側ではより風が強くなるので危険半円、左側では風が弱くなるので可航半円と呼ばれているのですが、実は船にとってはもう一つ重要な理由があります。
それは、台風からいち早く逃げるための進路を取ったときの風向きが、追い風になるか向かい風になるかが変わってくることです。
もし船に乗っているときに運悪く台風の中に入ってしまったら、危険なのですぐに逃げなければなりません。
このとき、いち早く逃げるためには台風の進路と逆方向に進む必要がありますが、そのような進路を取ったときに危険半円では向かい風に、可航半円では追い風になるのです。
そのため、台風の進行方向右側にいると台風からなかなか離れることができず危険なので「危険半円」、左側にいると比較的簡単に台風から離れることができるので「可航半円」と呼ばれているのです。
それでは、このことをもう少し詳しく説明するために、危険半円と可航半円にいる船がどのような状態になるのかを引き続きみていきたいと思います。
危険半円にいる船
危険半円にいる船は、台風から逃げるためには台風の風に逆らった方向に進まなければなりません。
そのため、危険半円にいる船はこのようになります。
台風の強力な向かい風や波が向かって来る方向に逃げなければならず、船は揺れまくるしちょっとずつしか進まないのでまさに地獄のような状態になります。
これがまだエンジンとかで走る船ならいいのですが、ヨットや帆船など風の力を利用して進んでいる船ならもう最悪です。
ちょっとでも操舵に失敗して風に負けてしまうと、どんどん台風の中心に向かって流されてしまう危険すらあります。
このようになってしまうので、台風の進行方向右側はまさに船にとって「危険半円」となるのです。
可航半円にいる船
反対に可航半円にいる船は、台風から逃げようとするときに台風の風が追い風になるので、後ろから船を押してくれます。
そのため、可航半円にいる船はこのようになります。
台風の強力な風は追い風になる方向で、波の方向も進行方向と同じになります。
そうすると、逃げたい方向に風も波も後押ししてくれる形になるので、船はとても楽に進むことができます。
この方向から風が来たら、ヨットや帆船などにとっても台風から上手く逃げることができるので、船にとって「可航半円」となるのです。
まとめ
以上で、台風の危険半円と可航半円についての話を終わります。
まとめると、下記の通りです。
- 危険半円は、台風の進行方向に対して右側の半円
- 可航半円は、台風の進行方向に対して左側の半円
- 危険半円では、台風本来の風よりも風速が上がる
- 可航半円では、台風本来の風よりも風速が下がる
- 台風が通過するとき、危険半円側では被害が大きくなるので厳重な警戒が必要
- 船にとって、危険半円側にいると逃げるときに向かい風になって台風から逃げるのが大変
- 船にとって、可航半円側にいると逃げるときに追い風になって台風から逃げるのが楽
台風の危険半円と可航半円、調べてみるとそう呼ばれている理由がいろいろと分かってとても面白かったです!
これから台風情報を見るときなどには、危険半円と可航半円についても注意しながら見てみると、台風についての理解がより深まるかもしれませんね。
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