コリオリの力。
北半球では台風の風向きが反時計回りの渦になることなどの説明として、良く出てくる言葉です。
しかしこのコリオリの力、いったいどんな力なのなかなかイメージしづらいですよね。
コリオリの力は地球の自転によって発生する力と良く説明されていますが、何で地球の自転がコリオリの力になるのかを理解するのはけっこう難しいのです。
そこで今回は、コリオリの力がどのような力なのかをイラストを使って分かりやすくまとめてみました!
合わせて、緯度の違いによるコリオリの力の強さや、風向きとの関係も一緒にお話していますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね(^^)
目次
コリオリの力を一言で
それでは、早速ですがコリオリの力を一言で説明したいと思います。
こちらです。
地球の自転によって発生する力で、北半球では進行方向に対して直角右向きに、南半球では直角左向きに掛かる。
うむ、やっぱり難しいですね!
とりあえず北半球では右向きに、南半球では左向きにそのような力が掛かるくらいのことは分かりますが、なぜそのような力が掛かるのかはさっぱりです。
このようにコリオリの力を理解するためには言葉だけではかなり難しいので、次の章からは、分かりやすいイラストを用いながら更に詳しく見ていきたいと思います!
コリオリの力の発生原理
それではここからは、コリオリの力がなぜ発生するのかについてその詳細をお話していきます。
地球の自転による速度と遠心力
第一章でコリオリの力は地球の自転によって発生していると説明しましたが、その力の源は地球が自転していることによって発生している速度と遠心力になります。
地球の上に立っている人は地球と一緒に自転していますので、その場所の自転速度と同じだけの速度を持っています。
そして地球は丸いので、回っていると外側に向かって遠心力が掛かります。
また、遠心力はその速度が速いほど大きくなるという特徴があります。
その様子を、北極の上の宇宙から地球を見ている人からすると、このようになります。
イラストを見ると分かる通り、北半球では南に行って赤道に近づけば近づくほど、そこにいる人の速度と遠心力が大きくなります。
また、北極の上から見ると、地球は反時計回りの方向に自転しているのが分かります。
南北方向へボールを投げた時の軌道
このように地球は自転していて、南に行くほど回転の速さと遠心力が大きく掛かっていることをふまえた上で、ボールを南北方向へ投げた場合にどうなるかを考えてみたいと思います。
Aさんが真北に向かって緑色のボールを、真南に向かって青色のボールを投げたとすると、北極の上の宇宙から見ている人からするとこのように見えます。
真北に投げられたボールは、もともと持っていたボールのスピードよりも地面の方が遅くなるので、ボールは地面を追い越していきます。
逆に真南に投げられたボールは、もともと持っていたボールのスピードよりも地面の方が早くなるので、ボールは地面から遅れていきます。
これを地球と一緒に回っているAさんから見ると、真北に投げたボールはどんどん東向きに、真南に投げたボールはどんどん西向きにずれていくように見えます。
東西方向へボールを投げた時の軌道
今度は、東西方向へボールを投げた場合にどうなるかを考えてみたいと思います。
Aさんが真東に向かって紫色のボールを、真西に向かってオレンジ色のボールを投げたとすると、北極の上の宇宙から見ている人からするとこのように見えます。
真東に向かって投げられたボールは、投げた地点の地球の自転速度よりも速くなるので、その分だけ遠心力が増します。
そうすると、遠心力が増した分だけ外側に膨らむような軌道を取ります。
これは、車でカーブを曲がっているときにスピードを上げると、より強い力で外側に振られる力を感じるのと同じ原理ですね。
逆に真西に投げられたボールは、投げた地点の地球の自転速度よりも遅くなるので、その分だけ遠心力が減ってしまいます。
そうすると、遠心力が減って今の場所にとどまれず、内側に向かってに落ちていくような軌道を取ります。
これを地球と一緒に回っているAさんから見ると、真東に投げたボールはどんどん南向きに、真西に投げたボールはどんどん北向きにずれていくように見えます。
進行方向右向きにコリオリの力が働く
これまではボールの動きを北極の上の宇宙から見るとどう見えるかについて考えてきましたが、ここで今度は、地球と一緒に回っているAさんから見たときのボールの動きを見てみます。
自分はこの場所に静止していると思っているAさんから見ると、東西南北それぞれの方向の投げられたボールは、下記のイラストのような軌道になります。
どの方向に投げたボールも、進行方向に対して右向きに曲がっているのが分かりますよね。
そう、この右向きに曲げる力が、コリオリの力の正体です。
地球の自転によって進行方向に対して右向きの力が掛かるとは、こういったことだったのですね。
ちなみに南半球ではコリオリの力が左向きに掛かるのは、南極の上からみると地球の自転は北半球とは逆で時計回りに回っているように見えるので、力の掛かる方向も逆向きになるからです。
遠心力とコリオリの力の強さ
この章では、遠心力とコリオリの力の強さの関係をみていきたいと思います。
これら2つの力は地球の南北方向の位置の違いである緯度によって実は大きく変わってきます。
※緯度については別ページで詳しくお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくださいね。
そして任意の場所の緯度をθとすると、それぞれの力は下記のように表されます。
- 【遠心力】mRω2・cosθ
- 【コリオリの力】2mωv・sinθ
- m=動いている物体の質量
- R=地球の半径
- ω=自転の角速度
- v=動いている物体の速度
しかし、これも数式だけ見てもいまいちどのように力が変わっていくのか良く分からないため、これをグラフにしてみたいと思います。
こちらです。
グラフを見ると良く分かりますが、遠心力は赤道上で最大となり、北極と南極で0なります。
そしてコリオリの力は遠心力とは逆で、北極で右向きの力が最大、南極で左向きの力が最大、赤道上では0になります。
ここからは少し難しい話になりますが、コリオリの力は遠心力の変化によって生み出されていることに注目して見てみると、遠心力の変化率が大きいところほどコリオリの力は大きくなるということが言えます。
そういった目線でもう一度先ほどのグラフを見ていると、遠心力はcosθの関数になっていて、赤道付近では変化率が小さく、極付近では大きくなっているのが分かります。
そして数学の世界で変化率といってパッと思いつくのは、そう、微分ですよね。
高校の時に習った数学の公式をちょっと思い出してみると、cosθの微分は-sinθになります。
ここでもう一度コリオリの力のグラフのほうも見てみると、見事に-sinθのグラフになっていますよね。
このような形で、遠心力とコリオリの力は結びついていたのですね。
毎年のように日本にもやってくる恐ろしい自然災害である台風ですが、赤道上では絶対に発生しません。それはなぜかというと、赤道上ではコリオリの力が0になるからです。台風が発達して強力な渦巻きになるためには必ずコリオリの力が必要になるのですが、赤道上ではその力が無いので渦巻きになれないのです。
たまに赤道上で台風ができない理由を、北半球で左巻きになる渦と南半球で右巻きになる渦が赤道上でお互いに最大になって打ち消し合うからと説明している人を見かけますが、これは間違いです。上記の通り渦を巻くのに必要なコリオリの力は北極と南極で最大になり、赤道上では打ち消し合うのではなく本当に両方が0になって渦巻きが発生しなくなるのですね。
※台風の仕組みについては別ページで詳しくお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくださいね。
コリオリの力と風の向き
最後に、コリオリの力と風向きの関係をお話していきます。
遠心力やコリオリの力は地球上のどんなものにも掛かるので、もちろん私たちが動いたときもその力が掛かります。
とは言うものの、重力や地面に立っているときに発生する摩擦力に比べるとこの2つの力は遥かに弱いので、私たちが動いたときに実際にその力を感じることはありません。
しかし、そんなコリオリの力が支配的になる世界があります。
それは、大気の動きです。
特に上空1000m以上、地面との摩擦が完全になくなる自由大気と呼ばれるエリアでは、コリオリの力が風向きに重要な影響を与えています。
風は気圧の高いところから低いところに流れようとする性質があって、その流れを生む力を「気圧傾度力」と呼んでいます。
そして自由大気の中では、気圧傾度力とコリオリの力が吊り合ったところで風向きが安定します。
その風向きは同じ気圧のところに線を引いた等圧線と平行になり、このような風を「地衡風(ちこうふう)」と呼んでいます。
イラストにすると、このような感じです。
高圧部から低圧部に向かう方向に対して、等圧線と並行かつ右向きに風は流れていきます。
ちなみに、北半球では高気圧の風が時計回りに中心から吹き出したり、低気圧の風が反時計回りに中心へ吹き込んだりするのは、この地衡風が原因になっています。
※高気圧と低気圧については別ページで詳しくお話していますので、興味のある方はこちらにも遊びにきてくださいね。
まとめ
以上で、コリオリの力の仕組みと、風向きとの関係についての話を終わります。
まとめると、下記の通りです。
- コリオリの力は、地球の自転によって発生する
- 発生する理由は、緯度によって速度と遠心力が変わるため
- 進行方向に対して、北半球では右向き、南半球では左向きに力がかかる
- 遠心力は赤道上で最大、両極で0になる
- コリオリの力は、両極で最大、赤道で0になる
- 遠心力の変化率が大きいところほど、コリオリの力は大きくなる
- 自由大気の中では、気圧傾度力とコリオリの力が支配的になる
- 自由大気の中では風向きは等圧線に平行になり、これを地衡風という
コリオリの力、やっぱりとても難しかったですが、このように遠心力と結びつけると理解しやすくなりますね。
これから天気予報を見て、高気圧・低気圧・台風の風向きなどに触れる機会があったら、コリオリの力のことも考えながら見るとより理解が深まるかもしれないですね(^^)
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