1秒の定義とは?噛み砕いて説明するとこうなる!

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1秒。

普段私たちが使っている時間の単位の中で、最も小さなものですよね。

時計やタイマーなどにも当たり前のように使わている、日常生活の中でもとても馴染みのある単位です。

そんな1秒で気になることの一つに「普段何気なく使っている1秒という時間の長さが、いったいどのようにして決められたのか」ということがあります。

そこで今回は、そんな好奇心を満たすために1秒という時間の単位がどのように定義されているのかを徹底的に調べてみました!

このページを読めば1秒がどのように定義されているのか全て分かるようになっていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね(^^)

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1秒の定義

まずは、国際的に決められている1秒の定義から見ていきます。国際的な1秒の定義は、下記の通りです。

秒は、セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍の継続時間である.

この定義は温度0Kのもとで静止した状態にあるセシウム原子に基準を置いている.

引用元:wikipedia「秒」

なかなか難しいですね!何を言っているのかいまいち良く分かりません。そこで、1秒の定義を分かりやすくいうとこんな感じになります。

1秒の定義

セシウム原子の出す電磁波の波1回分の時間の91億9263万1770倍

秒は、セシウム原子の出す電磁波によって決まっていたのです!

しかし、なぜこのような定義になったのか?なぜセシウムなのか?なぜその倍数になったのか?気になることがまだまだたくさんあります。

次の章では、それらの気になることを更に深くみていきたいと思います!

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このような定義になった経緯と理由

それではここから、なぜ1秒がこのような定義になったのか、その経緯と理由を詳しくみていきたいと思います。

昔の1秒の定義

まずは、昔の1秒の定義についてです。1967年に現在の定義であるセシウム原子を使った方法の前は、このような定義で決められていました。

「秒は、平均太陽日の1/86400とし、東京天文台が秒として決定する時間で現示する」

引用元:wikipedia「秒」

平均太陽日とは1日(地球の自転一周にかかる時間)のことです。

平均太陽日2

そして、1日=24時間、1時間=60分、1分=60秒とすると、

「1日=24×60×60=86400秒」

になりますから、1秒を1日の86400分の1と定義するのは、感覚的にもすごくしっくりきますよね。

ではなぜ、感覚的にしっくりとくるこの定義ではダメだったのでしょうか?

それは、地球の自転周期(1日の時間)が完全に一定ではなく、わずかに変化することが分かったからです。変化する原因は、大気や海洋の循環、地震の発生などです。

その変化量は1000分の1秒程度というとても短い時間ではあるのですが、科学の発達した現代ではこのわずかな差でも精度上の問題が発生し、より精度の高い1秒の定義を決める必要が出てきたのです。

そのため、これよりもさらに精度の良い1秒の定義として、現在のセシウム原子を用い定義が制定されることになったのです。

セシウムが選ばれた理由

次は、原子の中でもセシウムが選ばれた理由についてです。セシウムは原子番号55番の元素です。元素周期表の中では、ここにいます。

セシウムの位置

周期表の一番左にあるアルカリ金属で、常温で液体となる珍しい金属です。そしてそんなセシウムは、下記の理由により時計の基準になる原子として選ばれました。

自然界には同位体が存在しない

同位体というのは、原子の中の陽子の数は同じだけど、中性子の数が違う原子のことです。

同位体が存在すると、わずかですが原子の性質に違いが出てきます。そのため、自然界には同位体の存在しないセシウムは、どのセシウムでも全く同じ性質になるので世界共通の基準に適していました。

原子の出す波の周波数がちょうど良かった

周波数が高い方が正確な時間は測れるのですが、あまりにも周波数が高すぎるとそれを計測できる機械を作ることができません。

そしてセシウム原子の出す波は、周波数は高いが、きちんと計測することができるレベルというちょうと良い具合だったので、時間の基準にとても適していたのです。

このような理由から、セシウム原子が現在の1秒の定義として採用されました。

豆知識!放射性セシウム

セシウムと言えば、放射能で汚染された地域で検出される放射性セシウムが有名です。

自然界に存在するセシウムが「セシウム133」と呼ばれる質量数が133のセシウムに対し、放射性セシウムは「セシウム137」と呼ばれる質量数が137のセシウムです。

この放射性セシウムは自然界には存在せず、原爆や原子力発電所に使われるウランが核分裂したときに生まれる、人為的に生成されたものです。

体内に吸収されると、セシウム137から発生する放射性を体内から浴び内部被ばくの状態となる、とても危険な物質です。

このような危険な物質が、これ以上地球上に作られないことを願うばかりです。

その倍数になった理由

セシウム原子の出す波1回分の時間は、セシウムがセシウムである限りずっと一緒です。人間とは関係なく、宇宙どこでも不変です。

それならば、あとは我々人間が「波1回分の時間の何倍を1秒と定義するか?」が問題となってくるのですが、なぜ「91億9263万1770倍」というものすごく中途半端な数字になったのでしょうか?

結論から言いますと、このような中途半端な数値になったのは「なるべくこれまでの1秒に近い値になるようにするため」です。

1秒の定義2

今までの1秒の定義に可能な限り近づけようとしたから、このような中途半端な数値になったのですね。

もし1秒の定義を新しくしたからといって、今までとかけ離れた時間にしてしまったら大混乱を引き起こしてしまいますからね。

しかし、この数値を決めるのは実は簡単なことではありませんでした。

なぜならば、1日の時間は前述の通りわずかながら変化するので、そこから求められる1秒の時間もそれと一緒に変化します。

そのため、そのわずかに変化するうちのどれが1秒の正確な値なのかというのが分からなかったのです。

そこで、その問題を解決するためにアメリカ海軍天文台とイギリスの国立物理学研究所が正確な1秒の時間を導くための研究しました。

地球の自転だけでは正確ではないので、月や星の動きまでも可能な限り正確に観測し、1秒の時間はどのくらいにしたら良いのか入念に調査しました。

そしてその研究によって得られたのが、セシウム原子の電磁波の波の数の「91億9263万1770倍」という数値だったのです。

こうしてめでたく、1秒の時間の長さが明確に定義されたのですね!

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将来はもっと高精度に!?

そんなセシウムを使った原子時計の誤差は、3000万年に1秒と言われています。

これだけでもものすごい高精度ですが、東京大学では「光格子時計」と呼ばれる更なる高精度の時計を開発中のようです。(東京大学:時計の概念を巻き直す「光格子時計」

その精度は、何と300億年に1秒!宇宙の年齢が137憶年と言われてますから、その2倍の時間がかかっても1秒しか狂わないものすごい高精度な時計です。

有名なアインシュタインの相対性理論では、物体は早く動けば動くほど時間が遅くなることが示されています。そして光格子時計の精度で時間が測れると、我々人間が歩くスピードでも時間の遅れが観測できるそうです。

近いうちに、歩くことによって生じる時間の遅れが体感できる日がやってくるかもしれませんね!

まとめ

以上で、1秒の定義についての話を終わります。まとめると、下記の通りです。

  • 1秒の定義は、セシウム原子の出す電磁波の波1回分の時間の91億9263万1770倍。
  • セシウムが選ばれた理由は、その周波数がちょうど良かったから。
  • その倍数になったのは、昔の1秒の定義と可能な限り近い値にするため。
  • 将来は「光格子時計」によってもっと精度の高い定義になる可能性あり。

普段は全く気にすることなく時計の秒針をみていましたが、たった1秒でもこれだけ奥が深かったのですね。

これから時計を見るときは、たまには1秒の定義を思い出しながら眺めてみると面白いかもしれないですね(^^)

また、1秒と並ぶ基本的な単位である「m(メートル)」「kg(キログラム)」については下記のページに書いていますので、興味がありましたらこちらでも遊びにきてくださいね。

てんびん
巻き尺
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この度、私(星野なゆた)が編集として入らせて頂いたKindle本「食べたい!がとまらない とろけて香る茄子麻辣のおいしい秘密:日本初!常温保存できる瓶詰め麻婆茄子商品開発ストーリー(賀川元史著)が出版されました!

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